〜人物設定〜 ・サモン(28) 王国軍所属の魔法使いであり、王国一の魔法使いと謳われる。 その実力は本物で、魔族にも匹敵する魔力の持ち主。研究者としても一級で、 魔法具現化に成功した数少ない魔法使いであり、後の魔法具現化の体系の基礎を築いた。 冷静に振舞ってはいるが、本質は感情豊かで、喜怒哀楽が激しい。 それゆえ暴走しがちで、幼いころは親友のダッツがセーブ役になっていた。 軍ではセーブ役がいなくても、実力が伴っているのでなんとかなってる場面も多い。 僻地への遠征時、孤児であったキャロルを拾う。当時サモン22歳、キャロル11歳。 キャロルに言葉と魔法を教え、一人で生きる力を与えた。 ・キャロル(16) 戦争孤児。魔物に焼き払われた村から一人逃げ延びたところを、王国軍兵士だったサモンに保護される。 王国でサモンとともに生活をはじめ、魔法を学び、知的探求の意義を知る。 寡黙でクールに振舞うが、本来は恥ずかしがりやで、動植物を愛でる心優しい少女。 だが一方、心の底で無意識のうちに魔物を恨んでおり、戦いのための魔法をよく学ぶ。 最近は城内のサモンの研究室や図書室に入り浸るようになる。 だがいつも閉じこもってばかりで、同年代の友達がまったくいない。 本人は気にしていないように振舞っている。 ・ダッツ(25) サモンの悪友であり親友。腐れ縁で幼馴染。 流浪の僧侶だが、最近は久しく王国に留まっている。 法術にとどまらず、医学・政治学・哲学まで幅広く学ぶ博学の人。 人当たりもよく、世界中につながりがあり、王国や他国の内情に詳しい。 絵に描いたような人物だが、本質はわりといい加減で、口も悪い。 だがこれは本来の意味での「適当」であり、「良い加減」。 ・デイジー(17) 王国所属の神官兵見習い。 神官兵は戦のために聖なる力を振るう僧で、教会とは所属が異なる。 読書を好み、図書室でキャロルの初めての友達になる。 幼いころから神を信仰しており、現実に疎いところがある。 ダッツと出会ったことをきっかけに、徐々に変化していく。 ・ブライアン(20) 若き王国兵。平民の出。性格は悪い意味でいい加減。ウザがられる。 だが根はまっすぐで良いやつ。ただ空回りしてしまう。 図書館でキャロルに一目惚れしてからというものの、彼女につきまとうようになる。 もちろんウザがられる。 ・アレックス(26) 神の祝福を受けた勇者。サモン・ダッツの幼馴染。 普段は隠居しているが、先祖代々王国に仕えており、有事には平和のために戦う。 〜ストーリー〜 □2日前 太陽の曜。今日から、3連休だ。平民も貴族も、各々の時間を過ごす。 サモンの研究室に客人がくる予定らしい。 キャロルは関わりたくないのと、恥ずかしいのとで人が少なくて本が読める場所を探してた。 「…図書室、かな…」 たまに資料を借りにくる程度で、長居をしたことはなかった。 が、静かで勉学に集中できる場所は、そこしか思い当たらなかった。 本を一度にたくさん運ぼうとしていた神官兵とぶつかる。 ぶちまけてしまった本を片付けるのを手伝う。 …彼女の名前はデイジーというらしい。本の話で意気投合し、友達になる。 「…友達…か」 これがキャロルのはじめての友達である。 「おー、いたいた。  キャロル、昼飯一緒に食べよーぜ」 サモンと、見知らぬ男が、図書館の入り口で呼んでいる。 そうか、あの人が客人か…。その後、名前はダッツとわかった。 デイジーと分かれて、その日はサモンと共に過ごした。 ダッツという人は、サモンの幼馴染らしい。 僧侶…だと聞いたが、サモンの前ではとても口が悪い。 どこか裏がありそうな人だ。だけど、悪い人ではなさそうだ。 □1日前 「な、なぁ、あんた」 兵士に話しかけられる。 「名前、なんていうんだ?」 「…キャロル」 「キャロル、か。へぇ」 「…」 「あ、ああ、俺はブライアンってんだ。よろしくな」 「…何か用ですか?」 「あー、その…」 「用がないのなら、失礼します」 適当に取り繕って、キャロルは足早に立ち去った。 「(…ウザかった…)」 今日も、キャロルは図書館に来ていた。 デイジーともう一度会う約束をしていたのだ。 と思ったら先客がいた。ダッツだ。 サモンのほうに別件で用事が入ったらしく、暇をつぶしていたらしい。 そうこうしている間にデイジーも来る。 ダッツは世界を旅して回ったことがあるらしい。 いろんな国の話を聞いた。 □事件が起こった日 爆発音と共に、城全体が揺れた。 「なにッ?」 図書館でデイジーと一緒にいたキャロルは、窓の外を見た。 そこには、燃える町と、魔物の群れ。 空を飛ぶ魔物が一気に近づいてきている。 「敵襲ゥ〜〜〜ッ!!」 警鐘が鳴らされ、城中を兵士が走る。 城下町のほうではもう戦いは起こっている。 廊下に飛び込んできた魔物を撃退しながら、二人は走る。 「サモン!」 「キャロル無事か!」 サモンは西門で戦っていた。 周りには、大量の魔物の死体と…それに混じって、数人の兵士の死体が転がっている。 「くっ、数が多い。いったん退けェーーーッ!」 門を閉ざし、守りを固める。 「ここには…兵士5人の神官3人か。  キャロル。お前は地下から脱出して隣国に救援を要請するんだ」 「…あなたは?」 「俺はここに残って戦う。今、この城を落とされるわけにはいかない。  お前は頭が良いから分かるはずだ。言うことを聞いてくれるな?」 「…」 「お前は王国の正規の所属じゃないからここに残る義務もない。行ってくれ、頼む」 沈黙が支配する。 「おいサモン、キャロル一人じゃ追っ手にやられちまうぞ」 「…ダッツ、生きてたか」 「死ぬわけないだろ。…デイジー、お前はキャロルについていくんだ。  俺の親友の大事な弟子だ。…友達なんだろ、守ってやってくれ。」 「ダッツさん…」 走るキャロルとデイジー。地下道を進み、城の遠くの丘に出る。 だが、そこには魔物が数匹いた。魔法が、効かないタイプの。 行く手を阻まれ、追い込まれるキャロルとデイジー。 そのとき地下道から飛び出したのは、ブライアンだった。 さっきのやり取りの中、ドサクサにまぎれて追いかけてきたらしい。 「お、女の子二人じゃ危ないと思ってさ!  それに隣の国までの近道を知ってるんだ。早く行こうぜ」 キャロルたちは無事に辿り着けるのか。 サモンとダッツは果たして無事なのか。 アレックスはいつ登場するのか。 誰か作ってくれ、頼む!